1950年代はモダンジャズにとって胎動期であり、それだけに多彩な才能を
持ったミュージシャンが登場したひとつの華々しい時代である事に
疑いはない。
だが、数多くのミュージシャンが現れただけに、豊かな才能を持ちながらも
光を浴びることなく埋もれていったプレイヤーも少なくない。
そうした過小評価に甘んじてしまった一人が、本稿の主人公
ジョー・ゴードンだろう。 と、友達が言っていた。
かくいう、おいらも、このミュージシャンには、疎い。
本アルバムを、前出の友達の家で聴いてみた。
─重箱の隅をつつくようだが、本アルバムを聴いている彼の隣にいただけと言う、法律解釈でお願いしたい(汗)─
ドナルド・バードやリー・モーガンと言った、ジャズ・ジャーナリズムの主流派の陰に
隠れていたけれど、どっこいジョー・ゴードンは、彼らと充分に“がっぷり四つ”で
組む事ができるハードバッパーだと思う。
故郷ボストンでチャーリー・パーカーやライオネル・ハンプトンらと共演して腕を磨いて
メキメキと実力をつけ、50年代後半には西海岸に渡りシェリー・マンのグループで活動したが
63年、35歳で不運にも火災によって亡くなっている。
アルバム数が少ないらしく、すこぶる残念だが、ジョー・ゴードンの魅力を
堪能できるのが本アルバムだ。
ジュニア・マンスやアート・ブレイキーの好サポートを受けて
生き生きとしたソロが聴ける。
ジョー・ゴードンのジャジーな雰囲気たっぷりのオリジナルのほか
「グラスホッパー」はクインシー・ジョーンズの手による名曲。
イントロデューシング・ジョー・ゴードン
イントロデューシング・ジョー・ゴードン
上記に加筆・修正を加え転載。
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